右手に青い海、左手には緑の松原、正面には雄大な富士山をのぞむ

名勝「三保松原」は、静岡県静岡市清水区に位置し、駿河湾に突き出た三保半島の海岸線に沿って7kmにわたり5万4千本のクロマツが茂る松原です。
右手には青い海、左手には緑の松原、そして正面に雄大な富士山を臨む景観は古来から文学や芸術の題材として愛でられてきました。『東海道名所図会』にも描かれているように、往年は半島全体が松におおわれ、清水湊をはさんでのぞむ姿は、さながら海に浮かぶ松の島のようだったといいます。
また、謡曲「羽衣」にもこの地が謡われており、天女伝説ゆかりの「羽衣の松」があり、毎年10月には薪能も催されています。

日本三大松原と、日本の白砂青松100選

「三保松原」は、福井県敦賀市の気比の松原、佐賀県唐津市の虹ノ松原とならび、日本の三大松原のひとつに数えられています。また、「日本の白砂青松100選」にも選定され、雄大な富士山の威容を背に白い砂浜と青い松林がつづく光景は、まさに日本の原風景といっても過言ではありません。

新日本三景のひとつ

「三保松原」は、北海道の大沼、大分県の耶馬渓とならび、日本新三景のひとつに選定されています。日本新三景は、1915年、全国投票によって選ばれました。

世界遺産の構成要素

静岡県では、富士山の世界文化遺産登録を目指しています。その世界文化遺産を構成する資産のひとつに「三保松原」が選定されており、清水海岸の砂浜もそのエリアの一部を成しています。

美しい砂浜を守るために

清水海岸の豊かな砂浜は、安部川から供給される大量の土砂によって生み出されてきました。しかし昭和の高度成長期に著しい海浜の減退が見られるようになりました。「海岸侵食」です。やがて名勝「三保松原」にまで浸食が及ぶ可能性は早くから指摘されていました。残念ながら、人の手を入れないと砂浜が消失してしまう恐れすらあります。松原の美しさは砂浜があってこそ。砂浜とともに、この歴史と伝説に包まれた名勝までも失ってしまう危機にありました。

この対策を実施するため、砂浜や海岸付近に重機やダンプトラックを入れています。工事の光景は景観にプラスとなりませんが、美しい景観に不可欠な砂浜がなくなることは避けなければなりません。景観と地域の安全の基礎となる砂浜を守るために、苦渋の選択として実施しています。清水海岸の砂浜は、西側から少しづつ回復が進んでいます。人工的な対策が不要になる日が来ることを目指して対策を続けていきます。

現在も豊かな砂浜が残っているのは、こうした危機をのりこえるための継続的な努力があったからです。三保松原を守る取り組みについて、当サイトの「清水海岸を知る」コーナーでくわしく紹介しています。

PAGE TOP