天女まんが この砂浜を未来に!
三保松原がなくなる? 今でも進む海岸侵食
清水海岸は、「名勝三保松原」に代表されるように、松林を背景に富士山や伊豆半島を望むことができる白砂青松の風光明媚な海岸です。平成25年6月には世界文化遺産「富士山」の構成資産として登録されました。
この砂浜には、大きく3つの機能があります。一つ目は“防護機能”であり、生命や財産を守る役割があります。その他に“環境機能”、“利用機能”があり、豊かな海岸環境の基盤となっています。(くわしくはコチラ)
砂浜の3つの機能
なぜ海岸侵食は起きたのか?
清水海岸や静岡海岸の砂浜は、安倍川から流れてくる砂で形成されています。
昭和30年代には、安倍川における過剰な砂利採取により供給土砂量が減少し、海岸侵食が始まりました。昭和50年代には清水海岸まで侵食域が到達しました。
その後、安倍川からの土砂供給が回復し、静岡海岸では砂浜の回復が見られるようになりました。しかし、清水海岸では、未だ回復がみられず一部では侵食が続いています。(くわしくはコチラ)
侵食が進んで砂浜がなくなったら越波被害、さらには堤防の崩壊などの恐れがあります。(くわしくはコチラ)
海岸侵食の変遷と現状
昭和30年代に安倍川における過剰な砂利採取により、砂浜を構成する安倍川からの供給土砂量が減少しました。これにより、安倍川河口から侵食が波及し、昭和50年代には清水海岸まで侵食域が到達しました。
平成に入り、清水海岸では侵食対策事業(施設整備、養浜)により、侵食の拡大を抑制しています。
下の図は、砂浜の増減を昭和59年から下に並べたものです。青色の侵食域が清水海岸で左(東)に広がっており、飛行場手前まで達しているのがわかります。一方、砂浜の回復(オレンジ)は、静岡海岸から徐々に進んできていますが、清水海岸には到達していません。
侵食が進むとこんな危険が高まります
砂浜には波の力を弱める働きがあります(防護機能)。
しかし、侵食が進んで砂浜がなくなったら越波被害、さらには堤防の崩壊などの恐れがあります。
砂浜をとりもどせ
清水海岸の砂浜は安倍川からの供給される土砂(漂砂)により形成されており、この一連の土砂の流れ(流砂系)に配慮し、対策を行っていくことを基本としています。
自然に砂浜が回復するまでの間、主に砂の流れを人為的に補う『養浜(サンドバイパス、サンドリサイクル)』により砂浜の維持・回復を図っています。(くわしくはコチラ)
景勝を支える技術
砂の移動距離を短縮する(サンドバイパス)
距離を短縮させたり、混雑する区間を迂回させる道路の名称で、「バイパス」という言葉を耳にしたことがあると思います。
清水海岸では、この 「バイパス」と名のつく工事を実施しています。
清水海岸の砂は、川の流れと海の波により長い年月をかけて安倍川から流れてきます。しかし、かつて安倍川で行われた砂利採取により流れてくる砂の量が一時的に減り、清水海岸では砂浜がなくなっていく「海岸侵食」が起こっています。
現在は安倍川で過剰な土砂採取は行われておらず、砂浜は西側から徐々に回復してきています。ただ、清水海岸まで十分な量の砂が流れてくるには時間がかかるため、自然の力だけで回復するにも待たなければなりません。
そこで、砂浜が回復する時間を「短縮」させるため、安倍川の堆積土砂を清水海岸へ人為的に「バイパス」しています。
これをサンドバイパス(養浜)と呼んでいます。
このような対策を行なっているのも、「海岸侵食」により砂浜がなくなりつつあるからです。残念ながら、人の手を入れないと砂浜が消失してしまう恐れすらあります。
対策にあたっては、砂浜や海岸付近に重機やダンプトラックを入れています。
工事の光景は景観にプラスとなりませんが、美しい景観に不可欠な砂浜がなくなることは避けなければなりません。
景観と地域の安全の基礎となる砂浜を守るために、苦渋の選択として実施しています。
清水海岸の砂浜は、西側から少しづつ回復が進んでいます。人工的な対策が不要になる日が来ることを目指して、静岡土木事務所では対策を続けていきます。
是非、御理解と御協力をいただくようお願いします。
海岸にギプス?絆創膏? 大切な砂浜がなくなるのを防ぐ重要な施設
清水海岸には、ところどころにブロックを積み上げた構造物があり、砂浜がなくなるのを食い止めています。
人間で言えば、血液(砂)が流れるのを止める「絆創膏」、弱った骨(砂浜)を支える「ギプス」に例えることができます。清水海岸は、これらの構造物がなければ、海岸侵食が進み、砂浜がなくなってしまう恐れがあるのです。
砂もリサイクルの時代? 限りある資源(砂)を有効利用する
清水海岸の砂浜の砂は、安倍川から出てきた砂が長い時間をかけて静岡海岸を漂い、清水海岸にたどりついたものです。その砂の終着点は三保飛行場がある吹合の岬です。しかし、今は吹合の岬に砂が貯まりすぎて一部の砂は、海底谷と呼ばれる深い海中に移動しています。海底谷に移動した砂は二度と海岸へは戻ってきません。
この海底谷に移動する砂も、もともとは砂浜を構成していた砂です。海底谷に移動してしまう前に、海岸侵食が進行して砂浜が狭い場所に人為的に砂を移動させることにより、砂浜の砂として再利用し、砂浜の再生を図っています。
これをサンドリサイクル(養浜)と呼んでいます。
地域の安全と景観を守るために
清水海岸には、ところどころにブロックを積み上げた構造物があります。これらの構造物が砂浜の持つ防護機能の役割を果たしつつ、砂浜がなくなるのを食い止めています。人間で言えば、血液(砂)が流れるのを止める「絆創膏」、弱った骨(砂浜)を支える「ギプス」に例えることができます。清水海岸は、これらの構造物がなければ、海岸侵食が進み、砂浜がなくなってしまう恐れがあるのです。(くわしくはコチラ)
砂浜を守る「養浜工」
清水海岸では、L字突堤・離岸堤型ヘッドランド・離岸堤・消波堤などの海岸保全施設の整備を完了し、現在は人工的に砂を補給することにより砂浜の維持・回復を図る「養浜工」を継続的に実施しています。
【消波堤】
消波ブロックを汀線に平行に設置し、波の力を弱めて
砂の流出を食い止め、汀線後退を防ぐ工法。
【離岸堤型ヘッドランド】
いくつかの人工的な岬(ヘッドランド)をつくることにより、
その間に安定した砂浜を形成する工法。
【L字突堤】
汀線に沿って漂う砂の移動を制御・捕捉し、砂浜を安定化させる工法。
清水海岸ではヘッドランドの一部としての働きをもつ。
【離岸堤】
消波ブロックを沖合に汀線と平行に設置し、波の力を弱めて
砂の流出を食い止め、背後に砂を堆積させる工法。
海岸侵食対策に御理解を
対策にあたっては、砂浜や海岸付近に重機やダンプトラックを入れています。
工事の光景は景観にプラスとなりませんが、海岸の背後地の保全及び美しい景観に不可欠な砂浜がなくなることは避けなければなりません。
地域の安全と景観の基礎となる砂浜を守るために、苦渋の選択として実施しています。
清水海岸の砂浜は、西側から少しづつ回復が進んでいます。人工的な対策が不要になる日が来ることを目指して、静岡土木事務所では対策を続けていきます。
是非、御理解と御協力をいただくようお願いします。